バナナは、紀元前5千年から1万年頃に栽培が始まったといわれ、赤道の南北ほぼ30度以内に位置する“バナナベルト地帯”とよばれているところで育つ熱帯性の果物です。バナナの木という言葉を耳にしますが、正確にいうと高さ1.5〜10メートルにもなる「巨大な草」で、バショウ科の多年草です。
現在、世界中で栽培されているバナナの種類は、300以上といわれています。そのほとんどは生食用バナナ(Table Banana)で、世界各国で食されています。そのほかイモのように煮たり、焼いたりして食べる料理用バナナ(Plantain)もあり、特に、東南アジアの国々で栽培され、食べられています。現在、日本に輸入されているのは、フィリピン産、エクアドル産のジャイアント・キャベンディッシュ、グラネイン、台湾産の仙人種、北蕉種などがあります。
ところで、私たちが食べているバナナには種はありません。しかし、バナナを輪切りにしてよく見ると、中心部に小さな黒い点々があります。実はこれがバナナの種のなごりで、まだ野生のものだった大昔には、立派に種が存在していたのです。しかも、その種は堅く、アズキ粒ほどの大きさで、ぎっしり詰まっていました。現在でも原産地のマレーシアあたりでは野生の「種ありバナナ」が残っており、現地の人は食べているということです。では、何故バナナの種はなくなってしまったのでしょう?
それは長い歴史の中で、バナナの遺伝子に変化が起こったからです。"種あり"の遺伝子を含む染色体が二倍体であるのに対し、"種なし"の染色体は三倍体です。三倍体の植物は、染色体の細胞分裂が不規則になるため、種ができにくいという性質をもっています。つまり、種なしバナナは遺伝子の突然変異により偶然生まれたのですが、食べる部分が多く人間にとって好都合だったため、広く栽培されるようになりました。
バナナは私たちが活動するためのエネルギー源として大変優れています。それはバナナの中の糖質は、ブドウ糖、果糖、ショ糖、でんぷんなど多様なため、エネルギーが長時間持続するからです。
これらの糖質は、体内に吸収される速度がそれぞれ異なり、徐々にエネルギーに変わるのでスタミナが長時間持続するのです。
いつも朝食抜きでボーッとしている人は、バナナを食べてエネルギーを補給すれば、脳が活性化され仕事や勉強に集中することができます。
また、バナナは、身近にある食品の中で抗酸化力が最も高い食品であるといわれています。人間の体内では、絶えず活性酸素が発生しています。活性酸素は脂質と結びつくと動脈硬化や老化促進の原因になります。また、細胞を傷つけガンの原因になることもあります。活性酸素の害を防ぐためには、抗酸化作用の高い食品をとることが重要です。
バナナは栄養満点の食品ということだけではなく、健康促進と老化予防に効果的であるといえます。
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