ひしもちの「ひし」とは女の子を意味する言葉であり、3月3日の桃の節句には雛壇に飾ります。又、家に祭っている神棚や仏前にも供えることもあります。ところで、ひしもちの形は、元は三角形だったのではないか、という説があり、三重県ではひしもちのことを「三角餅」と呼び、桃の節句には親元にこの餅を持って行く風習があるそうです。静岡県の遠江地方のひしもち(三角餅)は、本当に三角形をした餅で、3月3日に両親に贈るものだといいます。
白もち・よもぎもち・赤もちの3種類を作り、各々つきたてを「もろぶた」に平らに並べ、固くならないうちに包丁でひし形に切り、3段に並べて飾ります。それぞれに色を付けている理由として、赤は「天」、白は「人」、緑は「地の緑」を表現しているといわれます。
おひなさまにひしもちを供えるようになったのは、江戸時代前期ごろからで、その由来は、古来、もちをさまざまな花の形に擬装し正月に食べられた「菱葩餅(ひしはなびらもち)」にまでさかのぼります。花の形にするのは倹約の意味もあったようです。菱葩餅は、いつしか菱形になり、室町時代の足利将軍の時代にはすでに、正月に菱形の菱葩餅を食べていたそうです。
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