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2014年4月30日(水)〜ラムネ〜

ラムネは日本で初めて製造された清涼飲料水です。その起源は、カステラや金平糖(コンペイトー)と同様に外国より伝来したものといわれていますが、いつ、どこに初めて来たのかはいろんな説があり、現在のところ幕末は1853年にアメリカのペリー提督が浦賀に来航したときにもたらされたという説と、1860年にイギリスの商船により長崎にもたらされたという説が、有力とみられています。
 このころのラムネは、コルクで栓をして、それを飛び出さないように針金でグルグル巻きにしばってあるものであったそうです(今でもシャンパンやスパークリングワインの一部に用いられていますね)。今のようなビー玉で栓をする方法は、イギリスのコットという人が「コルクより簡単に栓をする方法」として発明したものですが、その特許権が切れた1888年(明治21年)に大阪の徳永玉吉という人が研究・開発に着手し、以降日本でも爆発的な勢いで広まっていったのです。
 世界的には1892年にアメリカのウイリアム・ペインターによって王冠栓が発明されてから、ビー玉で栓をする「玉入り壜(びん)」はすたれていきましたが、日本では中小零細業者が主だったので、王冠用の新しい機械設備に投資するのが困難だったことと、風鈴のような音に清涼感を求める独特の文化にマッチしたこともあり、現在に至るまで「ラムネ壜」として伝承されてきたのです。
「ラムネ」の名は、英語の「レモネード」が日本語風に語尾が消え、「L」が「ラ」の発音に聞こえてなまったものといわれています。「レモネード」−「レモネ」−「ラモネ」−「ラムネ」と、伝言ゲームのように変わっていったのでしょう。
 現在「レモネード」と称するのは、炭酸ガスを含まない調味したレモンジュースのことですが、当時のイギリスなどでは、炭酸水にレモン風味のフレーバーで香りをつけただけのものも「レモネード」と呼んでいたらしいです。
 もっとも、今の日本のラムネのほとんどは、「レモン風味」だけでなく、ライムフレーバーも加えた「レモン・ライム風味」で、すっきりと飲みやすくなっています。
 「ラムネ」の名が定着する以前は、炭酸ガスが泡立つ様から「沸騰水」と呼ばれたり、舌にジンジンときてヒヤーッとするところから「ジンジンビヤ」と呼ばれたりすることもあったそうです。

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