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2014年8月20日(水)〜唐辛子〜
もともと世界中に分布していたものと思われていますが、そうではなく中央アメリカ 、南アメリカそして西インド諸島だけに分布していたローカル植物で、数千年前から古代インディオの人々が料理に使っていただけでした。
 1493年3月コロンブスが一回目の航海を終え帰国した際、数種類の唐辛子を初めてスペインに持ち帰りその後メキシコ帰りのコルテスが唐辛子を味付けに使う豆と肉の、煮込み料理チリコンカーンの料理法を紹介したといわれています。滋養分に富んだこの料理は人気を得て一般化されていき、唐辛子の使用法も普及していきました。
 香辛料としての唐辛子は瞬く間に世界中に広まり、1542年にドイツ人植物学者L.フクスが書いた植物史に自国へインドから数年前に唐辛子が香辛料の一つとして 輸入されたと記述していますし、1593年にはモルッカ諸島で唐辛子を栽培していた記録が残っています。
 当時ジパングの名で有名だった極東の国日本では1543年にポルトガル人によって伝ったと言う説と、秀吉の征韓の役の時征韓軍が種を持ち帰ったとの説がありますが、いずれにしろ16世紀中に唐辛子は日本にまで伝わっています。イタリアやスペインでは十七世紀に家々の窓辺に唐辛子の鉢植えが並んでいたとの記録 があります。その刺激的辛さが好まれ現在では熱帯全域で約200種の唐辛子が栽培されています。

 ピーマン、シシトウガラシ、パブリカなどの甘口や甘辛の実のなる一年草のアンヌーム属と、カイエンペパー、ハバネロチリ、ロンボクなど多年草のフルテスケンス属の二種類 があります。
 辛いのは後者がほとんどで、辛さを一定に保つ為に多年草ですが毎年植え変えています。唐辛子には色々な気候風土に容易に順応する習性が備わっている様で、色々な地域で栽培されているうちに更に雑種化が進み辛味、香味、色、形 大きさなどが異なる変種 がたくさん生まれました。
 グリーンチリは植えてから三ヶ月ほどで収穫されますが レッドチリは実が赤くなるのを待って収穫されます。 太くて長く多肉質なものがマイルドで、短くて皮が薄くとがったものが辛みが強いとされています。辛味の素はカプサイシンという結晶性の部質が主成分で種や筋の部分にたくさん含まれています。それ故、料理によっては種を取り出して使うものもあります。
 辛味の強い唐辛子を扱った指などでそのまま目や傷口そして肌の敏感なところに触れたりすると唐辛子の持つ強い刺激によって大変な騒ぎになりますのでご注意下さい。炒め物、煮物の辛み付けやカレーの辛みなどに使われています。
 色々な国でチリソースやチリペースト、チリオイル、チリエッセンスなどに加工されて使われています。キムチなどの漬物やウォッカ、ビールの辛み付けにも利用されています。粉末をほんの少量だけ使いその料理の味を引き立たせるやり方もあります。
 唐辛子の種類によってマイルドな辛さのもの、ホットなもの、そして頭を殴られたように、辛いスーパーホットなものまで色々ですので使い分けが肝心です。しかし、かなり辛い唐辛子でも常用していますとすぐに免疫性がつきあまり辛く感じなくなります。
 生のものは ビタミンCが多量にふくまれていますし、乾燥したものでも消化促進作用があり特に炭水化物の消化に役立ちます。発汗などの作用もあります。寒い国では靴の中に唐辛子を一本入れ足の先を暖めるのに利用しています。
 健胃、風邪、しわがれ声などの薬として使われていました。

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