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2014年9月10日(水)〜山芋〜
山芋とは、ヤマノイモ属のつる性植物のうち、栽培作物として発達したものの総称です。世界には600種類もあり、亜熱帯から熱帯にかけて分布しています。

 日本では、さつまいもやじゃがいもが無かった時代には、いもといえば、山芋をさしました。山の芋、やまといも、長いも、いちょういも、自然薯(じねんじょ)、大薯(だいしょ)などのさまざまな呼び名があり、さらに地方によって呼び名が変わるので混乱しています。例えば、やまといもと言えば、関東ではいちょういものことですが、関西ではつくねいものことです。一般に、栽培品種を「山芋」、山に自生する自然薯(じねんじょ)を「山の芋」ということが多いようです。 現在、日本で採れる山芋は、大きく分けると、長いも、大薯(だいしょ)、自然薯(じねんじょ)の3種類で、農林水産省の統計種類でも、この3種類を山芋と呼んでいます。 日本には古くから自生し、「山うなぎ」といわれるほど、滋養強壮に良いことが知られていました。

 主成分は炭水化物で、でんぷん、マンナンを多く含みます。でんぷん質のものは生食での消化が悪いので、加熱して食べる事が多いのですが、山芋には炭水化物分解酵素アミラーゼが大根の数倍も含まれており、このアミラーゼがでんぷんの消化を助けてくれるので、生で食べることができるのです。麦ご飯には、不消化物の食物繊維が多いのですが、とろろをかけて麦とろにすると、かまずに飲みこんでも完全に消化してしまうほどです。カタラーゼという酸化還元酵素はガンなどの成人病の元になる活性化酸素を解毒する働きがあります。いうなれば天然の総合胃腸薬というわけです。
このように山芋はでんぷんを効率良く消化吸収できるので、食欲の無い時などに食べるとよいでしょう。また、胃にやさしく、胃炎を鎮めてくれるので、胃弱の人も安心して食べられます。
但し、アミラーゼは熱に弱いため、調理のときには加熱しすぎないように注意しましょう。山芋のまた、ヌルヌルした粘り気のもとはムチンです。ムチンは胃壁の粘膜を保護し、たんぱく質を効率よく消化・吸収させる働きがあります。たんぱく質をしっかり吸収することで体力を補強できるので、山芋は滋養強壮や疲労回復に大きな効果があるのです。
さらに、食物繊維が豊富な上に、カリウムも多く含まれているため、大腸ガンや高血圧の予防、また、便秘の解消にも効果があります。

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